昨日、京都市聴覚言語障害センターで行われた「聴覚情報処理障害とは?~音は聞こえるのに、話の内容が聞き取れない~」に行ってきました。

実はあまり上手くまとめる自信が無いので、記述を見送ろうかと一瞬思ったのですが。最初に全く知識の無い門外漢の私が、専門家の話を聞いて何とか理解したレベルの報告である。というのをお断りしておきます(内容正確で無い可能性アリ)。

さて今回の講座は、その分野の第一人者といっていい小渕千絵先生(国際医療福祉大学)のお話でした。タイトルにあるとおり、音が器質的に聞こえるのに話の内容が理解出来ない。。という「症状」を聴覚情報処理障害 (略してAPD)というそうです。

障害とついているので生来の人の特質と思われがちですが、あくまで「症状」。色々な原因(不明のこともある)が考えられ、今まさに研究されはじめている分野だそうです。

この症状は本人が認識するのが、大人になってからであることが多いらしい(だからデータも、大人中心)。実際の受診者の統計データを見ると、大卒の方が約半数を占め、知的には問題ないことが分かる。しかし就職してみてから、「話が聞き取れない」という症状を自覚して困り、クリニックに来院されたという方々のようです。

通常の耳鼻科で聴力検査をしても 器質的に問題がでなければ、「本人の気のせいです」となりがち。まだこういう症状があるということを知らない医療機関も多いらしい。本当に困りますよね。

原因は実に様々で、物理的な頭部外傷や感染・中耳炎からのこともあれば、今置かれているストレスが多い環境由来の精神的なものもある。聴力検査と共に知的検査をすると、自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥他動性障害(ADHD)の傾向がみられることもあるので、認知の問題が関係している可能性が。

子どもの事例が数十例と少ないのであるが、大人と別で考えたほうが良いようです。気になるのは、海外駐在で英語を習得させようとアメリカンスクールに入れたものの、残念ながらバイリンガルになれなかった事例。母国語・英語共に習得できずAPDになってしまう子も居るとか。本人にとってストレスフルだったのかもしれない。

APDに似ているがAuditory Neuropathy(AN)という症状もあり、こちらは内耳の機能には問題が無く聴神経までの聴覚路での機能障害。これは検査で分かるので、別症状だそうです。

だからAPD症状は難聴由来のもの(簡単な検診では分からず精密な検査で分かる事例もある)、AN由来のもの、認知のバランスの悪さによるものが考えられるが、それぞれが複雑にからみあって簡単に結論は出せないようです。

子どものAPD症状に関してどうすればいいのか質問させていただきましたが、言語学習を段階的にして国語力を高める(語彙を増やす・構文力をつける)ことで話の推測が出来る様になるので、コミニュケーションの問題も自然に解決して行く事が多いそうです。

ざっと私が聞き取ったのは、以上の内容。日本ではAPDは福祉支援が無いのですが、先ずはAPD症状というものの社会認知が必要なのだろうな、と思ったのでした。