やっと、昨日追加制作の鞄(大きい方のトートバッグ三本とお客様特注一本)納品でホッと一息。
someoriさんとのコラボトート制作の話ですわ。

一度型が決まってしまうと、作るのはそんなに大変でもなくなる。一応職人歴もある私。
前回大小作ったのはトワル制作なしのぶっつけ本番で、実質は実製作と同じ材料使って様子見のサンプルといった感じ。なんやかんやいって、作ってみないと全体のバランスも分からないもの。

サンプルから本番まで何回見本作るか・・はそりゃ、デザイナーのこだわり具合で変わるモンですが、企業さんが作る場合はファーストサンプル、色だしサンプル、と2~3回は繰り返すものです(普通)。これ、実質コストはメーカー側が全部負担する訳で・・ここにつぎ込む材料費・職人の工賃・企画をやること自体の手間隙代などを考えたら、今のように究極に数売れない時代はそうそう新しいことも出来ないものです。

そうなると、つまんないんだよね~~

今回の鞄は素人目には分からないと思いますが、ちょっと仕立て方を普通じゃなくしてるのよね。胴体のところ、かなり薄く仕上げてます。鞄やさんだったらこういう作り方しません。なぜなら、こんなにふにゃふにゃだったら仕立てにくいから。いや~ミシンかけつつも材料、動く動く(苦笑)。鞄職人さんだと、コレまとめるの難しいと思う・・テキトーな中にある微妙なバランスみたいなものを狙ってる(笑)。はっきり言ってアンバランスな中にあるバランスを考えて作ってます。

今回のコラボトートで最初考えたのは、実質一点物でもある鞄をどうやってお客さんが手に届く価格になるように組み立てるか。

普通、数万円の販売価格予定で二人の作家が物作るって・・まぁ、無理でしょう。特別なイベントの為に、飾り的に作るとかならともかく。まともな頭で考えたら、どうやっても採算合わない。

このコラボ、ネットで直販、という枠が新しくできたからこそ、の実験でもあります。

作り手としては、面白いことしたいのよね。普段に使える、その人にとって「特別なもの」であるものを提供したい。
someoriさんの着物地、凄い良いけど、やっぱり数十万ってそうそうバンバン買えるものでもないのよね。鞄だと、数万円で出来るので、今回のコラボはかなり良い企画だと私としては思うのですよ。

作ってて、お互いに楽しい。

最初someoriの吉田さんに私が言っていたのは、お客さんが多分欲しいと思うのは、彼女の独特の「絵画性」。帯のお太鼓のところでやっている他の着物業界の人じゃまず出来ないビックリするような実験的な色使い、ブラッシングカラーズに代表される即興性・・そこが形になれば、凄く面白くなるんじゃないかと。

先ず作り手が楽しんで作らんと、良い物が出来ない。そして、ちゃんと利益も出すようにしないと。
気持ちはあって散々尽力して立ち上げた後、デザイナーは儲かるが職人としては採算合わない方に向かってしまい仕方なくやめる・・をここ10年以上際限なく繰り返して来ている私。違う方向性が見えてきた今、珍しくやる気が出てきてます(笑)。

今回の大トートはsomeoriさんの膨大なサンプル布ストックから制作。贅沢に端切れを取り出して組み合わせ。完成された帯の仕事の裏には、沢山の実験・練習が隠されている。画家のパレットですね。

持ち手つける前。口の部分、ふかっとさせているのはデザインです。

慌てて撮ったので写真イマイチですが、今回なかなかいい感じで仕上がりましたよ~

結構横長で、物入ります。鞄は物運ぶ為のものなんで、やっぱり収納性無いと。と思うのよね。
布の面白さが前に出てると思うんだけど、皆さんどうですかね?