皆さんは、大地の再生講座 結の舎づくり を知っていますか?

今回の都市環境サミットは、こちらが主催で開催。これから都市のありようをどのようにしたらいいのか、先ずはそこで起こっている問題を日本全体の「流域」という視点から見直して、行えることを提言していこう、という趣旨で行われたのです。

「大地の再生講座」は造園技師・矢野智徳氏が始めた「環境整備」の手法を実際に身体を動かしながら学ぶワークショップ。それそのものを知らない方は、先ず彼のプロフィールをご覧頂きたい。

文字どおり草木とともに育ち造園家になった彼ですが、仕事をするうちに日本全国の大地が「呼吸不全」に陥っていることに気が付いた。このままでは、かつてあった日本の美しい風景は失われてしまう・・。

何が起こって居るのか。

日本列島全体で見た時に、水と空気が大規模に循環できなくなって来ているんですよ。本来なら山に降った雨は地下に沁みこんで、再び湧き水としてじわじわと海に流れ込んでいた。それがあらゆるところがコンクリートで蓋をされてしまったことにより、地中に入っていくルートがドンドン閉ざされていってしまっている。

そして昨日の記事に書いたように、土砂がちょっとした大雨でそのまま川の流れに乗り海へ流出・・といったことになる。地表はなかなか水が引かずドロドロの水溜りが出来やすく、河口付近の海は常に濁って魚が住めない状態が発生。コレ、ほんまヤバいです。

水と空気の循環というのはとても大事で、大地というのは土と石だけで出来ているわけではないらしい。その中に有機物があるからこそ、水や空気が動くことが出来る・・地中にこの有機物の層を意図的に作り、空気穴を兼ねた水脈を作る。そういうことを、大地の再生講座ではやっているのです。

一度、私も京都でのワークショップに参加した事がありますが、面白いくらいにやるまえとやった後の「場」の雰囲気が変わったのに驚きました。地中に空気が流れる層が出来ただけで、立っていると居心地が良い空間になる。まさに「大地の再生」。実際にやっているのは土木工事(笑)ですが、確実にその場の新しい空気感を創出していました。

今の日本の状況の「澱んだ感じ」は、まさに我々が生活している大地の目詰まり状態から来ているのではないか・・と思うのです。

文字通り、大地を風通しが良く循環できる状態にする。そういった視点で、居場所である土地・建物を扱って実践した例をサミットでは伺うことが出来たので、順に記述していきますね(続く)。