野口整体入門


野口整体概要

皆さんは「気」というものの存在をどのように捕らえて居られるでしょうか?数値で測ることもできず、五感以前のところで感じている「気」。
確実にあると思われるが説明しようとすると茫洋とする「気」を、野口整体では扱います。

野口整体ではこの「気」の集散を心で行います。手法はいろいろありますが、具体的に姿勢を整えて気を集める手法などがあります。

又、身体の状態を「どの背骨に変動が出ているか」で見ます。野口師の本を読むと、胸椎何番が・・などと背骨の名称が語られている記述が至る所に出てきますが、それには理由があります。
野口晴哉師は一時期一日100人あまりの個人指導をするなど、その膨大な経験から、ある決まった症状と背骨の状態との関連性を見出されました。又、似た背格好の人は似た行動様式・病気の出方があることから、独特の分類体系を確立することになります。

野口整体の全体をザックリと把握する為に無理やりカテゴライズすると、次の6つに分類することが出来ます。

体癖理論
愉気法
活元運動
潜在意識教育(心理指導)
温法
整体操法

これから順に、それぞれを説明していきます。

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*数年しか勉強していない者が、興味を持ち始めた人に対して分かりやすいようなあくまで書きやすい内容だけを記述したものであることをお許し下さい。野口整体は、手当て法や治療法・分類法では無いです。人間存在をまるごとを相手にしている奥深いものですが、文章化は非常に難しく、本当のところは実際に人と相対し受け渡すところからはじまるものと今の段階では考えています(2017,10記)。

1・体癖理論

同じ風邪をひくのでも、いろいろなタイプがある。
いつも喉に出やすい人と、胃腸にくる人、頭が痛くなる人。などなど。
又、それぞれの行動様式に共通するものがある人は、どうも体型も似たところがあるようだ。

野口師が治療家として膨大な数の人間の相手をしている中、その運動様式の偏りによって人の分類をしはじめたのが、体癖研究のはじまりのようです。
体質と言わず体癖という表現が独特だと思いますが、「体の質」というよりは「そのように動いてしまう偏りの傾向」ということに特に注目しているのがポイントです。人には無意識の身体の動きの偏りというものがあって、これが蓄積されるとその鬱散要求から病気になったり、騒がしくなったりすることがあるそうです。

このタイプ分けの基本になる運動様式の偏りとは何か?ですが、人間の立ったときの運動様式は上下・左右・前後・捻じれ・開閉・敏鈍の六つの動作の組み合わせと考えられる。
六つの中でどの傾向が特に出ているか(偏っているか)で、運動様式が緊張すると濃く出るものに偶数番号を、弛緩すると濃く出るものに偶数番号をつけて十二種類にわけています。

この中の体癖現象は感受性・心の動く傾向とか、体の偏る傾向や臓器にも関係するそうです。
これは非常に面白く、自分が関わらざる得ない相性の悪い人が居る場合は自分と相手の体癖というものを知ると、人への理解というものも進むかもしれません。

2・愉気法

野口整体上で語られる「愉気」、「愉気法」とは何か。

他人の体に「気」を送って通すことである。と創始者の野口晴哉先生は「整体入門」の中で書かれてます。名づけるにあたって、最初は輸気といっていたらしいですが、やはり愉しい気をおくるという意味にしようということで、愉気という表現になったそうです。

ここで言われる「気」とは具体的にはどういうことなのでしょうか?
そもそも、「気」というのは「心」というのと似ている様で微妙に違うもの。物事の始まる根源の力、とでもいっておきましょうか。

なかなか言葉に変換するのが難しいことですが、気を使う、気に入る、気に障る・・普段何気なく使っている日本語の中にあるように、日々の生活の中で我々が自然に感じていることであると思います。
小さな子が居たり、ペットを飼っている方はよく分かる話だと思うのですが、相手を普段から「気をかけている」と、無駄に騒いだり無茶なことをしたりしませんよね?
「気」とは目には見えないある動きや流れのようなものですが、確実に相手に何がしかの作用を及ぼすものであるのではと思います。

少し前に巷で流行った「レイキ」も同じようなことだと思うのですが、これは手を使って誰かに気を送る、という一点のみ拡大してやっているような気がします。
野口整体での「愉気」はもうちょっと広い範囲で考えます。

お腹が痛かったら下腹に手を当てるように、気を送るというのは皆自然にやっていることですが、それなりに訓練をすると効率的に行えるようになります。先ず「合掌行気法」という方法で気を集める訓練をするのですが、誰かに気を送る訓練をするまえに、自分の体のどの部分にも気を集め、抜くということが出来るようになるのをめざします。

これは言うは易く、行うは難し。で、自分も十分に出来ているかというと疑問点も多々あるのですが、最初は何でも「そのつもり」でやってみるのがいいらしいです。

3・活元運動

野口整体で説明が難しいのが、「活元運動」。別名自動運動、ともいいますが、先ず人間の普段の動き(運動)を考えてみると、意識しないで行っている動きがありますね。
例えば頭がくたびれてくると出てくる「あくび」とか、悪いものを食べた時に吐き出すのとか、雪道を歩く時にすべらないようにあるこうとするからだの動きとか。
活元運動」は、こういった意識しないで動く身体の動き(錐体外路系運動)を意識的に訓練するものです。

具体的に3つの導入・誘導の動きを行って、身体の外路系運動を引き出します。導入方法は次の順。

1・邪気吐出法
2・背骨を捻る運動
3・訓練法

活元運動が普段自然に行えるようになると、体が敏感になっていきます。
外路系運動が鈍って風邪もひけない鈍い体になってくると、癌や脳溢血などの大病をしやすくなってきます。
普段から、自分の体は自分で調整するようにしていきたいですね。

4・潜在意識教育

潜在意識教育は別名心理指導とも言います。
野口整体ではどのように心を使っていけば人がより健康になれるか、それを問題にしています。
敢えて言うなら、どんなに良いことでもそのために体を壊すようなことであったら、それは本当に良いことではないのでは無いでしょうか?

潜在意識の働きを考えてみる。
例えば意識して「恥ずかしい」と何度言っても、本当に恥ずかしくなければ顔は赤くならない。つり橋で手足がすくんでいたら、口では「怖くない」と言っていても本当は怖いのだと判断できる。
このことから意識の上で如何言おうが、実際に体に変化を与えるのは意識ではなく、潜在意識的な心であることが分かる。

人は「何かがやりたくなってくる」と、どんなに悪条件でもそれをやる力が湧いてくる

そこで潜在意識の中に、何かそうしたくなるような心を呼び起こして、誘導していく「というのが潜在意識教育の根本。これは子どもだけではなく、全ての年齢の人を通じて必要なことである。
自発的にやりたくなるようにするには空想というものを上手く利用して、人がより健康になるように指導していきます。

5・温法

野口整体では症状を経過させるために、身体のある部分を温めるという手法を使うことがあります。これが温法です。

特別に訓練する必要も無く、簡単です。先ず最初に生活に取り入れるのには、愉気法とあわせて使い、ここから学んでいくのが一番取っ付き易いと思います。

野口整体では脳天部以外を冷やすということはあまりありません(やけどや日焼け後の処置を除く)。
打撲や打ち身の手当てでも冷やすということはしません。骨折などの時も、整体操法の他は基本温めることと愉気をすることによって手当てをしていきます。

大別すると、温シップと部分浴です。
温シップではタオルを熱湯で温めて患部に当てたり、板こんにゃくを煮てタオルで包み湿布代わりにしたりします。
部分浴では、足や肘など体の一部分をお湯で温めます。
東城百合子先生の自然療法と重なるようで少し違い、温灸は使いません。

温法の後、愉気法を使うと効果が高まります

温法はある意味「刺激」ですので、必要も無いのに使いすぎると体が慣れてしまうということもあります。
状況を見極め、上手く使って行く事が大事です。

6・整体操法

野口整体では長年研鑽を積んだ指導者が各個人の背骨の状態からその人の状態(何処に気の流れの滞りがあるか)を観ます。次にその滞った部分に気を通すことによって、その人の治ろうとする力を誘導します。見様によっては治療的な側面が強いのですが、実際に観るという行為の前後、なども含むためそれだけで終わる内容という訳でもありません。

どういうことかは実際に指導を受けてみてください。としか言い様がないのですが、時間ではなく内容の質が問われるものなので、熟達するほど時間は短くなる傾向があるようです。

数値化できない「気」を扱う感覚の世界なので、指導者になるには最低でも10年以上の訓練が必要とされるそうです。

毎月個人指導を受けていると知らないうちに身体が変わっていき、自分で気の停滞や不整体を感じる身体になるようです。私自身は単純に産後の調整と思って通い始めたのですが、確かに身体のバランスが悪くなってくるタイミングに非常に敏感になってきたように思います。

何でもそうですが、うっかりすると先生に対する依頼心が強くなって自分で身体を考えていくといったところから離れがち。野口師が整体操法ではなく「愉気法」や「活元運動」の普及を中心によるようになったのも、そういった側面もあるようです。

私自身まだまだ勉強中の身であり、文章化するとどうしても本質から違うところに行ってしまいがちな「気」の世界。上手く表現しずらいのですが、興味があったら先ず公開講座などに参加されるといいと思います。

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